勇者警察ジェイデッカー

●5代目勇者シリーズ。

 この作品の特長は、人の心やロボットの心を、こと細かく全てさらけ出している作品だと思いました。人間とロボットの心の繋がりや掛け合いを、とても大切に、そして綺麗に描いていて、見ていてとても感動する場面がいっぱいありました。
 人の心の中までお節介に観察してしまう私にとっては、一つ一つの話が楽しかった(色々勉強になったし)。‥‥‥‥でもその一方で、人間の残酷な部分・弱い部分・醜い部分・汚らしい部分も同時に出していて、あろう事かその部分を勇者ロボット達に見せている為、「何て事するんだろう!人間の汚い部分なんて、純真な心を持ったロボット達には見られたくない」と、最初の私は怒ってばっかりでした。
 でも怒りながらも、『何故、わざわざ人間の汚い部分をロボット達に見せるんだろう?』と思うようになりました。だって、見ていると否応なしに気付くのですが、悪を倒していく場面よりも、心を描く場面の方が圧倒的に多いんですよ。敵一人倒す度にも『心』のシーンが出てくる‥‥‥‥私は、『何故そこまで心にこだわるのだろうか‥‥人間の心をロボットに見せ付ける事よりも、敵を倒すことの方が大事じゃないの>か!?』私は‥‥‥この作品を通して、一体私達に何を伝えようとしているのか?と、じっと考えていました。
 それで考えた末に感じた事が、心と心の違い‥‥‥。ロボットが感じる心と、人間が感じる心の違い。『ロボットが心を持つ』、初代のエクスカイザーからずっと代を進んで作品を見ていって、【ロボットに心が有る】そのことに何ら抵抗も不思議も感じないで、むしろ当たり前のようについつい見過ごしていたけれど、実は『ロボットが心を持つ』という事は、実際は決してあり得ないことであり、本来は絶対に持つべきではない物では無いだろうか?と考えました。
 でも、持ってしまったその心。果たしてその心の中身は一体どんな物?人間が日々の中で感じる心は、ロボットと同じ心なのだろうか?人は物を見て心で感じる。ロボットも、やはり物を見て心で感じる。物の見方・価値観・感じ方は同じなのだろうか?それとも違うのだろうか?それを5代目で、大きく取り上げて『ロボットが心を持つってどういうこと?感じ方は同じか、それとも全く違うのか?価値観は?観点は?』
 それを知るにはどうしたら良いのかと言えば、やはり心の全てをさらけ出す必要が有るんですよね。人間の心の綺麗な部分ばかりを見せないで、悪い部分や汚い部分も全部見せないと、人の心とは一体どういう物?と、ちゃんと知ることが出来ない!
 でも、人間の汚い部分を知って『29話』、「人間には、こんな醜い感情が有るのですね。私はそんな感情を持たなくて幸せです」byマクレーン。と、まるで人間の感情を軽蔑するように言うんですよ。でもそんな彼にも醜い部分があって‥‥「私は正義のロボットなのに、人間と同じく汚らしい心を持ってる」と自分の中にある負の部分を知って悩んだりしました(優等生ほど、挫折すると立ち直れない、典型的タイプ)。
 ‥‥‥後々も似たような経験で自分の心に苦悩する彼らなんですけど、段々と人間とロボットの心の掛け合いによりお互いの心を知るようになり、最終的な結論は『なぁ〜んだ!心は皆一緒なんだ。ロボットが感じる心は人間の感じる心と何一つ変わりはしない。人間は綺麗な心を持つ反面、汚らしい心を持っている。それと同じで、正義と謳われたロボットにだって汚い部分も有り、悪い部分も有る。』そう、完璧な心なんて無いんですよね。『私は正義!』と確信を持っていても、絶対何処かに負の部分を持っている。綺麗な心と汚い心の対極を持つ生き物=それが人間じゃないの?という結論でしょう。彼らはそれを知って、もっと身近にロボットを感じ、人間を感じとった事でしょう。
 そこで冒頭に戻って‥‥「人間の汚い部分を純真なロボットに見られたくない!」。確かに見られたくないかもしれない。エクスカイザーが人間の汚い部分を知ったら幻滅するかも知れない。嫌うかもしれない。でも仕方ない。だって『それが人間なんだもん。でも、対極する心を持っているから、葛藤もするし迷ったりもする。逆にそれが有るおかげで強くなれる。心を強くすることが出来る。改心が出来る。凄いんだよ人間って!』そう言えば、きっとエクスカイザーも「そうか。凄いね」って言ってくれると思います。
 「人間が好き」。そう言ってもらえると確かに嬉しい。でも、人間の表面の部分だけを見て「好き」と言ってもらうより、人間の醜さ汚さをさらけ出し、全てを見せても「それでも私は人間が好きだ」。そう言ってもらえる方が私は何倍も嬉しいです!
  この作品ではとにかく初代の世界が絶えず見え隠れしているような気がする。この作品で初代に還ろうという意志を持っているのでは!?と思うくらい、初代の世界が色々な場面で盛り込まれている。それぐらい初代に還っている場面が沢山ある。
 最終回!カピアの星に降り立ったカピアとビクティム。ビクティムの姿はエクスカイザーそのものだった。私は、この星が『宇宙警察発祥の地』となった気がしてならない。
 何故、普通は持てるはずのない心を持つことが出来たのか。これは、ロボットに人を守るという役目を与えたからだと思います。人を(命令なしで)守るのって、心が無いと絶対無理な事なんですって。勇太やデッカードに出会い、その事にカピア自身も気付いたんだと思う。そして自星に降り立ち「じゃぁこの星で警察という組織を作ってみよう!」と思い立った。そして何十年何百年が経ち、心を持つことに成功し、宇宙警察が誕生したのではないか‥‥‥と思います(推論です)。
 そして、もしかしたら5代目を見た後、また初代の『勇者エクスカイザー』を見て欲しいんじゃないかな‥‥?『ロボットの感じる心は人間の感じる心と同じだった。ロボットも両極の心を持っている。』それを思ったら、完全無欠で万能のように見えていたエクスカイザー達も、ちょっと違った視点で見ることが出るかも知れないです‥‥‥‥?????
これは私の推論ですが‥‥勿論定かなんて私も知らない(笑)。


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