41話 夢の惑星

・次の惑星は『ミラダイス』で、惑星から笑い声が聞こえる‥‥というか、惑星自身が笑っている!?どうやら、惑星そのものに意思があるようである。
シリアスは、データ解析により、タクヤたちがこの星を訪れる確率が90%にも昇ることを調べ上げた。
ミラダイス星から発せられる優しいエネルギー波に刺激されたのか、シリアスは暇つぶしにと、タクヤたちがこの星を訪れる前に、自身でも惑星探査に出かけることに‥‥。
・レイザーと降り立った星には、誰もいなかった。
ただ、一面にだだっ広い地面が広がっているだけ。
何もなさすぎて暇つぶしにもならないとため息をつくと、レイザーが、どこからかフリスビーを咥えてきた。
いったい、どこから持ってきたのかはわからないが、シリアスは、そのフリスビーを投げてレイザーと遊んであげる(実に楽しそうである)。
・お次は、メリーゴーラウンドが出現し、レイザーが先に乗り込み、シリアスを誘っている。
誰もいない惑星なのに、どうして‥‥とシリアスは不思議がるが、突如現れたピエロ達に無理やり乗せられて強制発進!
最初は嫌がっていたシリアスだが、乗ってみれば、実に楽しそうであった。
・淹れても誰も飲んでくれないコーヒーを、シャランラは1人で怒りながら飲んでいる(^_^;)。
イーター・イーザックとカーネルは込み入った話をして、シャランラに気を配る余裕がないようである。
カーネルは、子供らしさが皆無なシリアスが末恐ろしいと言い、シリアスに未来などあるのか?と問う。
イーザック船長はシリアスに会いたいと思っているようだが、仮にシリアスに会ったとして、そこで一体なにができるのかと問うのである。
冷酷で、人間味は無く、残忍で、まだ子供である身でありながら、無慈悲で非情な彼には未来なんてないのでは?というのだ。
『三つ子の魂百まで』というが、幼い頃に形成された人格は、後々大人になってからも尾を引く‥‥というものかな?
しかしイーザックは、まだ幼いからこそ、シリアスには未来はあるという。
まだ子供だから、我々大人の前で強がっているだけで、というか、シリアスは“その世界しか知らない”だけ。
すなわち、我々が見ている(見せている)シリアスが、彼の全てではないというのである。
・シリアスは、今度はゴーカードに乗せられている。
それだけではなく、今度はジェットコースターや観覧車など──なんと遊園地が丸ごと出現する。
出現した遊園地内で、とっても楽しそうなシリアス。いつもの冷酷なシリアスとは大違いである。
そんな遊園地でひとしきり遊び、お腹が減ったレイザー。
シリアスは、「船に戻らないと食料は無い」と謝ると、突然、骨付き肉がレイザーの前に現れ、レイザーは美味しそうに食べるのであった。
驚いたシリアスは、レイザーが“望んだから”レイザーが食べられるような食料が出現したことを知る。
と、いうことは‥‥?この遊園地は、自分が作り出したものだと知り、壮絶なショックを受ける。
だって、自分の望みは勇者を手に入れることであり、遊園地などのチャラチャラしたものは望んでいないからだ。
おそらくこのミラダイス星は、自分でも知りえなかった望みを具現化するんだろうな。

今回のミラダイス惑星の『思ったことが具現化されて現れる』という設定、こういうSFな話は大好きです。
私の好きな洋画にも、『思ったことが具現化される惑星を“探査する”』という映画があり、ジャンルは‥‥SFホラー系である。
本人の深層心理の“想い”が具現化する惑星を調査するために、優秀な学者たちが向かうのですが、その星で具現化されるものは、必ずしも良い想いや願いだけでなく、悲しみ、苦しみといった負の想いさえも具現化されてしまう。
ある学者の元には、亡くなった肉親が具現化する。学者は気味悪がり、具現化された肉親を殺してしまう。具現化された偽りの肉体であるのに、血は流れ、苦しみながら死んでいく様はまるで人間そのものであった。
学者は、肉親の断末魔が脳裏に焼き付いて離れず、人間を殺したわけではないのに『殺人』を犯した罪悪感に苛まれた。
しかし、その悲しみの“想い”によって、殺したはずの肉親は再び具現化されて学者の目の前に現れ、時には死体の状態から蘇った。
2人目、3人目、4人目‥‥と、毎晩のように具現化された肉親を殺し続けるうちに学者は精神を病み、遂には自殺に追い込まれてしまう。
一方、運良く自らの“想い”が具現化された者もいる。一見羨ましいことのように思えるが、なんでも自分の思い通りになるために、学者は居心地の良いその惑星に留まりたいと望むようになる。しかも具現化されたのは亡き愛しき妻。「正気を取り戻せ。それは“生き物”ではない」という他の声も届かず、学者は偽りの妻に愛を注ぎ、故郷である地球を捨て、職務を放棄し、“造られた偽りの中”に囚われ生き続けることを選択してしまう。
そして物語は‥‥“なんでも具現化できる”惑星の真の恐ろしさと、その惑星に囚われた学者の悲しい末路と共に終わる──という救いようのないバッドエンドとなる。悲しく、恐ろしく、未だにホラー映画の金字塔となる作品であり、後にこの惑星の設定『考えた(想った)ことが具現化する』をオマージュした作品が多々作られていく。

シリアスは、プラネットバスターで惑星を破壊したけれど‥‥映画を知っている身からすると、案外それが正解かもしれないとさえ思えてくる(;^ω^)。
・一足遅く、タクヤたちがミラダイス星へ着こうとしていた。
しかし、星はエクセルギア隊が取り囲んでおり、とても着陸するのは困難のように見受けられた。
次の星へと向かう光のレールも伸びていたため、タクヤはミラダイス星への着陸をあきらめ、次の星へ向かう光のレールに乗ることになった。
・結局、星によって具現化された遊園地をいくら攻撃しても徒労に終わると諦めたシリアスは、一旦は攻撃をやめて船へと帰還する。
疲れたと椅子にドカッと座り、あの星は一体何だったのかと呟くと、惑星ミラダイスはこう答えた。
「私は惑星ミラダイス。訪れる旅人の夢を叶える」
それを聞いたシリアスは怒り狂い、プラネットバスターで惑星を破壊してしまう。
シリアスが惑星を破壊する様を見たワルターは、嘆かずにいられない。
カーネルの「彼に未来はあるのか?」という言葉が、怖いぐらい聞こえてくるのだろうな。

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