40話 ブレイブポリス解散!

・宇宙空間に、雲状の不思議な物体が接近しているという情報が入った。
地球に落下すれば甚大な被害が及ぶことが懸念されたため、破壊することになり、ブレイブポリスがそれを行うこととなった(まぁ、実質彼らしか出来んわな)。
破壊に成功するも謎の光に包まれ‥‥デッカード達が目覚めた時、地球では半年もの年月が経っていた。
半年の間に地球の文明は大きく進化。超AIの技術は末端の社会にまで浸透し、誰しもが簡単に扱える当たり前の社会となっていた。
更に、ブレイブポリスはもはや首都東京だけが所有する特別な警察組織ではなく、各市町村単位で所有できるほど安価(商品扱いしたら可哀そうだが)なレベルになっていた。
その為、事実上『旧型』であるブレイブポリスはお役御免となってしまったのであった。
・勇太は、ブレイブポリスに「君たちは自由だよ」と言って、ブレイブポリスの解散を宣言する。
勇太および警察組織としては、今まで彼らに命令を与え、半ば強制的に働かせてしまっていたから自由を与えてあげたいという、ある意味『今まで支配してきた罪悪感』みたいなものもあるんだと思う。
『いいかい?無理して働かなくてもいいんだよ。あなたには辞める権利もあるんだからね』と、『職業選択の自由』を与え、一応は人間扱いをしている。
人間側の勝手な都合により、彼らはブレイブポリスで動くことを目的に作られたロボットである。警察官として職務を遂行し全うすることに達成感や喜びを感じるよう、おそらく感情倫理もある程度はプログラムされていることだろう。今の世界以外を知らない(知るはずも無かった)彼らに、いきなり自由を与えたところで困惑するだけである。そもそも彼らには、“働いている”自覚はあるのだろうか?使命と働くは、全くの別物ですよ。
案の定、人間の勝手な“梯子外し”に、ブレイブポリスは絶句する(まったく人間のエゴだよ)。
・翌朝、ブレイブポリスの面々は次の仕事に向けて準備していた。
ダンプソンは綾子のマネージャー。マクレーンは防衛軍。シャドウ丸は役者。ドリルボーイはサッカー選手。デュークは英国警察。ガンマックスはロサンゼルス市警。パワージョーは体育の先生。
勧誘された者、自分から売り込んだ者、皆が新たな道を歩むべくワクワクしている。
唯一、新たな仕事が決まっていないのはデッカードだけとなった。
デッカードは、自分はこのブレイブポリスに残ると言い、席を立とうとしなかった。
皆の新たなる道を知っても喜ぶことはせず、うつむき、とても寂しそうである。
ブレイブポリスのリーダーなのだから、どこの団体からも勧誘されていないなんてありえないだろうに、全部断ってしまったのでしょうか?
・元ブレイブポリス達の新たな道。それぞれの活躍にスポットが当たる。
それぞれが、ブレイブポリス時代に出来なかった『やりたかった事』をやっている。
その中で、一番楽しそうなのはドリルボーイであり、本当に生き生きとしている。この子は銃を撃つよりも、サッカーを蹴る姿が断然輝いているよ。
・デッカードは、独りぽつんとブレイブポリスに残っている。
ただ‥‥やることが無い。トボトボと友永家に帰ると、デッカードのガレージは物置になっていた。
「こうでもしないと、貴方が帰ってきちゃうでしょ?」って、それは酷すぎる。
勇太は「どうしてやりたいことをやらないの?」とデッカードを責めるが、きっと彼にとっての『やりたい事』は、勇太をボスとして、ブレイブポリスの中で生きていくことで、それが全てだったんだろう。
デッカードは、勇太の発言が、まるで自分を厄介払いとして追い出しているようなニュアンスに聞こえてしまい、家出をしてしまうのであった。
・結局デッカードは、閉鎖されたデッカールームで独り掃除をしていた(寂しすぎる)。
勇太の発言の真意もわかる。
『やりたいこと』を見つけ、ブレイブポリスを離れていった仲間に戻ってくれなんて言えないし、言う権利も無い。
警察を辞めた事を責めるつもりもない。『やりたいことをやれ』と言った勇太の命令に従って行動しただけなのだから。
ただ、自分が意地を張っているだけなのである。
・事件の一報を受けて駆け付けると、新型のブレイブポリスに出会った。
『独り維持張って残っている奴がいる』と、どうやらデッカードの事が噂になっているらしく、バカにされたことが悔しくてデッカードはついに自暴自棄になり、燃料切れになっても補給しようはせず‥‥自分が生まれて勇太と出会った思い出の工場で、朽ち果てることを望むのであった。
悲しい‥‥悲しすぎる!仕事人間で、仕事しか生きがいの無い人生の末路か。
・機能停止寸前のデッカードに、シャドウ丸がそっと手を差し伸べてくれた。
デッカードが顔を挙げると、そこには元ブレイブポリスのメンバーが‥‥。
各自『やりたいこと』を見つけて歩んでいった新しい人生だったが、いざやってみると、やっぱりブレイブポリスが自分の居場所だと思ったのだという。
わかるよその気持ち。『やりたい事=天職』とは限らないもんね。
私も子供のころ、漫画家になるのが夢だったし、同人誌も作り、漫画を描くのが楽しくて仕方なかった。
でもアシスタントをやってみて‥‥漫画家になりたいとは思わなくなったな(;^ω^)。
外で見ているイメージは華やかで憧れに満ちてるけど、いざ中に入ると現実が見えてくる、世の中そんなもんだよ。
・すべては夢だった。
謎の光に包まれ眠っていたのは事実だが、実際の事件経過は半日だった。
当然、ブレイブポリスは存続しており、メンバーも隣にいるのであった。
ブレイブポリスが無くなること=デッカードにとっては悪夢なのね。
デッカード達の寿命がどのくらいかは分からないけど、冴島さんも勇太も年を取っていくんだから、今のままで何十年ずっといられるかって、正直分からないと思う。
警察は倒産しないけど、それこそ、超AIが量産化されて、本当に市単位にブレイブポリスが出来てしまうかもしれない。
そうなったら最悪、旧型のデッカードは本当にリストラされてしまうかもしれない。
その時に備えて‥‥一応デッカードも趣味とか持った方が良いよ。


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