44話 奪われたボス!

・ぴりぴり亭。
柏崎が超AIについて書かれた難しそうな本を読んでいる。
いつもだったら柏崎を見ただけでとろけているあずきは、少し悲しそうな顔をしている。
彼が彼じゃないような‥‥変な違和感が漂っているのだと言う。
・収容所から抜け出し、友永家の子ども達を連れ去ったビクティム。
勇太が直接命を狙われたのって、4話以降無いんですよね。
不謹慎だが、ブレイブポリスを制するなら、勇太を人質に取引したほうが手っ取り早いと思うんだけど、意外とどの犯人もそんなことはせず、正々堂々(というのか?)ブレイブポリスにケンカを売っていたりする。
ビクティムの要求は、「勇太と超AIとの交換」だった。なるほど、超AIさえ取り出せば、ブレイブポリスはただの車だものね。
勇太は、そんなことはしてはいけない命令するが、勇太が連れ去られてパニックになっているブレイブポリス達は、どうしていいかわからない。
話し合いの中、ブレイブポリスは勇太の命が最優先として、超AIを渡す要求を呑むことを決め、冴島さんに超AIを取り外すよう懇願する。
でも‥‥盗んだ超AIは、どう扱われるのか?
破壊されるならまだ良いだろう。しかし、もし兵器として悪用されることがあれば、その時は自分達を破壊して欲しいと願ったのである(超AIってコピーできないのかな?とりあえずコピー品渡しておけば?)。
・勇太と超AIとの取引が始まった。
藤堂さんは、超AIを渡さずに済んだ場合、すぐに反撃できるようデッカード達のボディを現場に寄こす(もちろん見つからないように)。
冴島さんが超AIを渡すと、ビクティムは「まだ今は人質を渡すことはできない」と言い、復讐のためにここで勇太を殺してやると宣言。
焦る冴島さんだが、最悪の状況を見越していたのか、警察の狙撃隊が一斉にビクティムに向かって銃弾を浴びせる。
しかし‥‥ビクティムは倒れることは無く、笑っており、現場は騒然となった。
正体がバレたビクティムは勇太を殺そうとするものの‥‥なぜか危害を加えることが出来ない。不思議なストッパーのようなものがビクティムを邪魔するのであった。
勇太に危害を加えられない自分にイラつき、超AIだけでも持ちかえろうと逃げ出した。
・ビクティムに奪われる(連れ去られる)超AI。勇太はデッカードの名を叫び‥‥アタッシュケース内の超AIがスパーク!
まだボディにセットしていないのに、まるで生きているようである。
ビクティムは、やむなく超AIが入ったアタッシュケースを放り投げ、海に飛び込んで逃げ出したのであった。
・ブレイブポリスから逃れたビクティムを、親友であるトニー・クルセイダーが出迎える。
彼に言わせると、本物のビクティムは自分が殺したと言い、自分の本名はノイバー・フォルツォイクと告げる。
なるほどな‥‥とビクティムが全てを理解した直後、ノイバーによって破壊されてしまう。
ノイバーは、ブレイブポリスだけではなく、世界を憎んでおり、復讐をしようとしている。
それがどういう理由なのかは、これから明かされるのだと思う。
ビクティムが実はサイボーグだった。超AIを持つブレイブポリスを嫌悪していたのに、まさか自分自身がサイボーグだったなんてね。
逃亡中にも、少し拳をぶつけただけでコンクリートを破壊してしまえる自分に驚いていた。。
うすうす、何かがおかしいとは思っていたはずだろう。でも、こうやって現実を突きつけられると辛いね。
皮膚が溶けだし、覆っていた布が外れた。鏡を見た時、衝撃を通り越して笑ってしまうビクティムは可哀そうだった。
チーフテンを生み、そして操り、ブレイブポリスを狙う自分こそが悪の頂点だと思っていたのに‥‥。自分の能力や思想、行動までも、実は“そうなるよう”仕組まれていたものだった。つまりは『自分も所詮はトカゲの尻尾』だったのである。
※ちなみに、ビクティムの和訳が『犠牲者』なので、名前聞いただけでピンと来た人も多かったそうな。

・ジェイデッカーの作品が、アイザックアシモフの作品を基にして作られたというのはスタッフによって公に語られているが、主要人物が背負っている人物背景なども、AIを基にした作品からオマージュされていたりする。
『元の自分は既に死んでいた。今の自分はコピーだが、自分はその事実を知らなかった』という設定は、AIがらみの洋画ではよく描かれる。
有名どころでは『クローン』という映画。
警察は『この男性はクローンである』として指名手配する。しかし男は「私は人間だ!」と逃げ続ける。
男は妻に助けを請い、妻も男の逃亡を手助けをする。
二人は警察から逃げているはずなのだが、何かに導かれるように‥‥まるで警察を呼び寄せ、誘導するかのように森の中へと入っていき、二人は包囲されてしまう。
警察はそこで不審な車を発見し、トランクから血まみれで死んでいる男の妻を遺体を発見する。
実は男の妻は既に殺害されていた。男が助けを求めた妻はクローンだった。男はそれを見抜くことは出来ず、逃亡を手助けした妻さえも、自身がクローンであるとは知らなかった。
更に警察はトランクから男の遺体も発見してしまう。男もそれを目にして驚愕する。今まで、自分はクローンではないと逃げていたのに──。夫婦は既に殺害されていたのだ。
男は、妻だと信じて共に逃げていたクローンを抱いて泣いた。
クローンの目的は、警察の主要人物を抹殺すること。
男が、自分がクローンだと悟った瞬間、男の体内に隠されていた核爆弾が爆発する。警察の中枢組織と共に消滅するという──救いようのないバッドエンドで終わるのである。



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