47話 ハートtoハート

・ジェイデッカーと勇太の心を共有させ、ハーメルンシステムを最小限まで抑えこみ、なんとか戦える状態までになってビッグ・マザーへと突入。
ビクティムはジェイデッカーと倒そうとするのだが、剣を突き刺す瞬間に勇太の叫び声が聞こえてしまう。
ビクティムの和訳は『犠牲者』。人間だったのに殺されて。実験台のようにアンドロイドとして蘇らせられ、心を与えられて動き、本人はそれが自分の意思だと思っていて‥‥。事実を知らされても動揺しないよう、その心すらもコントロールさせられて。本作で一番可哀そうなのはビクティムなのかもしれないな。
どうして自分がジェイデッカーを倒せないのか、ものすごい葛藤が手に取るのようにわかる。
もし勇太が乗ってなかったら、戦えていたのかなぁ〜なんて思ったり。
・ビクティムがもたもたしている隙に、ジェイデッカーはビッグ・マザーを操るフォルツォイク親子の前へ!
超至近距離でハーメルンシステムを受けることになったジェイデッカーは、自分の心が破壊されていくのを感じていたが必死に抵抗する。
ジェイデッカーの抵抗を快く思わないエヴァは、コントロール波の出力を上げさせ、結果、ジェイデッカーのAIは完璧に破壊されてしまう。
自我を持ち、かつ自分の意思で何かに抵抗する。その様子を間近に見たエヴァは悔しかっただろうな。
自分が必死に研究して研究して、それでも出来なくて。人間を実験台にして脳まで調べて、それでも結局出来なくて。
それなのに、ブレイブポリスが全くの偶然に、なんの労力もなくすんなりAIに自我を持たせることが出来て、確固たる意志を以て創造者に反発してくるんだから、悔しい通り越して怒りしか無いだろう。
・勇太は、ジェイデッカーが意思を失くしていく様子を感じ取り、涙する。
しかし、悲しみに浸っている場合ではない。勇太は涙を拭ってマニュアルモードに切り替え、エヴァの元へ。
それを目にしたビクティムやチーフテンは、何かを感じるが、それが何なのかは自分達もわからずにいる。
エヴァは勇太を殺すようビクティムやチーフテンに命令するが、どうしても勇太を攻撃することができない。
ジェイデッカーは創造者の命令を聞かない。チーフテンも命令に従わない。エヴァは罰と称し、ハーメルンシステムで操り心を失わせるのである。
・心を失くしてしまったビクティムは、もはやジェイデッカーを攻撃しても表情を変えることせず、ただただ命令を実行するだけの機械となってしまった。
でも、ジェイデッカーの胸を貫こうとした瞬間、不思議な光が周囲に満ち、超AI同士が共鳴しはじめる。
エヴァはその時、友永勇太が超AIを持つ者にとって特別な存在であると気づいた。
確かに、超AIを作ったは自分かもしれない。でもそれは、あくまでもただの“機械”にすぎなかった。
そのただの機械に心を与えたのは友永勇太。超AIを持つ者にとって、勇太は『神』に等しい存在なのである。
超AIは、ブレイブポリスのみならず、チーフテンやビクティムにも搭載されているが、すべてはデッカードのコピーであるため、本人は覚えていなくても、何かしら深層心理にはデッカードと勇太との絆の記憶が残されているのだという。
その記憶は、心を持つ前のデッカードが、勇太と別れる瞬間にノイズが発生し、自分でもそれがわからず勇太に問うというものだった。
寂しいって何?悲しいって何?と質問するデッカードに、言葉では説明できない勇太は「寂しいは寂しいだよ」と返し、それはまるで答えになっていないのだが、説明できない感情についてうまく描写していると思う。
それに、デッカードが最初に覚えた感情が『寂しい/悲しい』ってのも結構リアル。
生物にとって『負の感情』は生きていくために不可欠な感情であり、最も長く残りやすいっていうし。
外敵から逃げる為には『恐怖』の感情は必要だけど、楽しい嬉しいは‥‥ぶっちゃけ生きていくうえではあまり必要ないですしね(活力にはなるけど)。

戻る トップ ホーム