闇に咲く花

ヒロイン暗殺計画!?蔵馬悪夢の1日 2話

ー!」
 蔵馬が叫ぶ声は、台風による暴風雨によって無情にもかき消されてしまう。
 はイアリングを着けているために、全く霊気が感じられない。
‥‥どこだー!」
 ふと、空を見上げた。
 ブローチを着けているために、妖気を出すことができない。ブローチの効力は凄まじく、相手が強大な妖気を持つ場合、それを吸い取ってでも抑え込もうとする。
 つまりは、蔵馬は最下級妖怪としてここに存在している。浮妖化の植物を用いて浮遊するどころか、植物を武器化する能力さえも無きに等しかった。
(外すか‥‥?)
 腰につけているブローチに手を伸ばした時、乗り場から離れて、500mほど先に停泊しているフェリーを発見した。
 すぐさま向かい飛び乗ると、ドアを片っ端から開けながら、の名を呼んだ。
 エンジンルームのドアを開けると、そこには船員の男がクリップボードを手にしてなにやら点検をしていた。
 蔵馬は男の胸ぐらを掴み上げると、エンジンルームから引きずり出した。
「ここに女がいただろう。という名だ。どこにいる!答えろ!」
「ヒ‥‥ヒィッ」
 再度問いただすものの、状況が呑み込めない男は、悲鳴を挙げたまま震えているだけである。
「答えろ!女はどこだ!!」
 蔵馬の怒号を聞きつけ、男の相棒が止めに入るが、構わず問いただした。
 相棒の男は、フェリーに備え付けられている斧を持ち出すと、蔵馬に向かって振りかざしたのだが‥‥。
「あっ」
 蔵馬が斧をいとも簡単に掴んでみせると、男の顔からみるみる血の気が引いていく。
 妖気が全く感じられないというのに、異常なほどの俊敏さだった。
 冷淡に光る金の瞳。刃のような恐ろしい殺気。男たちは悲鳴を挙げながら逃げ出すも、竦んだ足はもつれ、ついには腰を抜かす。
(殺される──!)
 なおも逃げ出そうとして床を這う男たちに、蔵馬は、斧を持ったままにじり寄った。
「やめろ!」
 蔵馬の足元に、霊気弾が撃ち込まれた。
 振り返ると、背後に雲鬼がいた。
「やめろ妖怪ども!何をもめているんだ。ここは人間界だぞ!」
「あぁ‥‥あ。助けてくれぇっ、こいつをなんとかしてくれ〜」
 今まさに殺されそうになっている男が、必死の形相で雲鬼に向かって助けを求めていた。
 蔵馬は雲鬼に向けて舌打ちする。霊界の目の前で犯罪はご法度だとは承知の上だ。しかし‥‥。
 もとより罰は受ける覚悟である。蔵馬は男めがけて斧を振り下ろした。
「やめないか!」
 雲鬼は右手に持っていた電気銃を掲げると、蔵馬に向けて発砲した。
「あっ‥‥!」
 ただの威嚇のつもりで発砲したはずだったのだが、命中してしまい‥‥蔵馬は一瞬身を強張らせた後、糸が切れた操り人形のようにその場に崩れ落ちた。
 そのまま──ピクリとも動かない。思わず「ヤバい!」と心の中で叫んだ。
 蔵馬だったら、てっきり軽くかわせる筈──と思っていた。
 雲鬼は、しまったという顔を浮かべながらも恐る恐る蔵馬に近づき、蔵馬の腹を足で軽く蹴ってみた。
 息はしていた。微かだが、うめき声も聞こえる。一応、生きていることを確認してホッとした。
 電気銃を食らった痛みは、想像を絶する。例えS級妖怪であっても、あまりの激痛に動くことさえままならないと聞く。そして中には、痛みのあまりショック死する者さえいるという。
 雲鬼は、斧を浜辺に向かって放り投げると、床に倒れて苦しむ蔵馬をしばらく眺めていた。
 意識がもうろうとしている蔵馬。苦し気にも薄目を開け、雲鬼を見上げながら何かを訴えかけているように見えた。
 雲鬼はピンとき来たのか、「あいつは無事だ」と静かに答えてやった。
 その言葉を聞いた蔵馬。起き上がろうと体を起こそうとしたが、指一本動かすだけで凄まじい痛みが全身を駆け巡り、再び床に倒れ込む。
「ぐっ‥‥!」
 凄まじい痛みに堪え体を震わせている蔵馬を見ていると、少なからず罪悪感を覚えてしまう。
 雲鬼は蔵馬から目を逸らし、蔵馬が殺そうとした男2人と、自身が手にしたクリップボードに挟んである書類を照合し、「この男も共犯だ」と言って、霊気で作られた手錠をかける。
 そして、男たちを拘束して連行するため、自身の上空に小さな亜空間を出現させた。
「俺じゃねぇ!こいつだぞ‥‥俺を殺そうとしたのは!」
 雲鬼は、ハイハイと適当に受け流すと、生み出した亜空間に男2人を無理やり投げこんだ。
 やれやれと雲鬼が肩を下ろすと、凄まじい風が2人に向かって吹きすさび、再び立ち上がろうとした蔵馬の足を掬った。
「おい、平気か?妖怪」
 S級妖怪とて、掠っても痛いじゃすまない電気銃の直撃を食らった蔵馬は‥‥四つんばいになるのが精いっぱいという感じで、未だに立ち上がることができないでいる。
 それでもフェリーの柵に手をかけ、痛みを堪えながらも柵を掴んで身を起こそうとする。だが‥‥。
 ガクッと床に膝と手をつき、苦しそうに肩で息をしていた。
(相当効き目があるんだなぁ〜。俺も個人の護身用に1つ欲しいな)
 雲鬼は、銃に刻印されている型番を探して見つけると、ささっとメモをとった。
 体を動かす度、全身を“灼熱の刃”が駆け抜けて意識が飛びそうになる。たまらずに咳き込むと、蔵馬の足元には、ポタポタと血だまりが──。
「やめなさい。この銃の威力は数時間は続きます。無理に動くと死にますよ。しばらくは安静にして、痛みに耐える体力を残しておいたほうがいいと思いますがね」
「ふざ‥‥けるな‥‥。それが‥‥俺を撃った‥‥者が‥‥言うセリフとは‥‥くっ!」
 血に染まった蔵馬の白装束。全身は泥にまみれ、あちこちに傷を負っていて痛々しい。
 妖怪に比べて夜目が利かず、よく見えなかったが、霊気銃を避けられなかったのも無理もないと思えるほどの傷を、蔵馬は負っていた。
「安心しなさい妖怪。はこの島にいます。乗る直前に事情が変わりましたからね」
「‥‥は、船に乗って‥‥いないということか?」
「ああ、そうだ。乗っていません。だから安心しなさい」
 その言葉を聞いた蔵馬から、殺伐とした険しい表情が薄れていく。
 柵を背もたれにして座り、大きくため息を吐く。痺れる体を摩りながら痛みを堪え口をかみしめる蔵馬の姿。
 痛みに必死に耐えている蔵馬の姿を見ていると、自分で撃っておいてこう言うのもなんだが‥‥少し気の毒になった。
 雲鬼は、電気銃の直撃を食らっても、痛みを『悲鳴』として表に出さない蔵馬にはほとほと感心する。
 以前雷鬼がこの銃をS級妖怪に使ったときは、悲鳴を挙げてのたうち回ったと聞いている。
「そうそう。この亜空間は直接ホテルと繋げます。妖怪、お前もこの中に入りなさい。本当はあの男も中にいますから、あまり入れたくはないんですがね。ただ、亜空間内では攻撃の類はできないから‥‥まぁ問題はないでしょう。第一、その体では動くのは無理でしょうしね」
 撃った張本人が、この台詞。しかし、雲鬼に大きな“借り”がある。蔵馬は素直に‥‥‥‥従った。

 雲鬼は、亜空間に閉じ込めていた蔵馬と男達を出し、男達だけを警備局に引き渡した。
 蔵馬が男達を殺してしまいやしないかとヒヤヒヤいたが、蔵馬は男が連行されていく様子をただ見ているだけだった。
 見逃したというよりは、凄まじい激痛に耐えていて、それどころではなかったのだろう。
 男を引き渡した後、雲鬼は警備室横の長椅子にドカッと腰をおろした。
「お前‥‥平気か?痛みが凄いだろうに、よく立っていられますね。そこに座ったらどうです?いくら私でも、今のお前を襲ったりはしませんよ」
「いらぬ心配だ。俺をそこいらの妖怪と同じに扱うな」
(ふんっ、やせ我慢しやがって)
 髪から足までずぶ濡れ。白装束は泥だらけ。頬や腕に擦り傷を付け、青白い顔で佇んでいる妖狐蔵馬の姿。
 ブローチをつけているために、蔵馬に妖気は感じられない。今はおそらく、植物を武器やアイテムに変えることすら出来ない──。いわば“丸腰”の状態だ。
 さすがの雲鬼も同情を隠せないが、しかし、蔵馬を撃ったことについては『謝罪』の言葉は口にしない。銃を撃って悪かった──とは言わない。
 妖怪と霊界人は根本的にお互いを快く思ってはいない。だからこそ、雲鬼は滅多なことがない限り蔵馬を名前では呼ぶことはない。
 蔵馬を名前で呼んで、“情”が移るのも、あるとも勘違いされたくはない。超えてはならない一線が、霊界人と妖怪の間にはある。
「フン‥‥。それで、何があった。あの男を『共犯』と言っていたな。いや、それよりも『不審な点がある』と言ったな。どういうことか、説明してもらおう」
「あ、あぁ。は船に乗ろうとしていたのですが、いくつか不審な点が見つかりましてね。私の『運営本部』としての権限で止めさせたんです。いやぁ、危なかったですよ」
 すると、なんと蔵馬が予想していた通りの答えが返ってきたのである。
 雲鬼の話を静かに聞いていた蔵馬は、沸々と湧き上がる怒りを抑えきれずに、拳を握りしめた。
 蔵馬の殺気を感じた雲鬼は、後ずさりをしながら距離を保ち、話を続ける。
「危なかったです。あの放送がなければ、私も気づくことができませんでした。は今頃、船に乗ってしまっていたでしょう」
 あの放送とは、蔵馬が地下で聞いた、を呼び出す全館放送である。
 VIPルームで放送を聞いていた雲鬼は、武術会の運営や保安を任されていることもあって、をフェリー乗り場に呼びだす放送に不審な点を感じていた。
 なにしろ、今日は台風で海は大荒れ。台風は今からが本番である。こんな大荒れの天候で、フェリーなど‥‥。
 そもそも、どうしてがフェリー乗り場まで呼び出されるのか?しかも大至急。
 胸騒ぎがした雲鬼は、即、運営本部の権限によってフェリーの出港を停止させ、すぐさま乗り場に急行した。
 そこには既にがいて、これから本土に送られるという急病人が担架に乗せられ待機していた。
 雲鬼は取りあえず、とスタッフを乗り場に隣接されているコテージに集めると、事の経緯を説明するよう命じた。
 雲鬼は病人に名前を聞いたが、そのような名前の患者が島を出て治療をするという許可証も、信じられないことだが、治療を受けている証明となるカルテすら存在しなかったのである。
「この病人のカルテは?」と雲鬼が聞くと、スタッフは「ホテルにある」と言う。だったら取ってくるよう命じると、今度は本土の病院の近くのホテルにあると言う。
 何かがおかしい。これは一体どういうことなのか。
 雲鬼は上司のコエンマに事情を説明し、本部運営の“責任者”の立場として、に声をかけた男を探して問い詰めたところ、恐ろしい事実が判明した。
 その男はフェリー場の男と共謀し、を島から海に連れ出して“遭難”させ、あわよくば船を沈めて殺そうと企んでいたのであった。
 理由を問いただしたところ、それはあまりにも身勝手なものだった。
『武術会場で、自分たちより立場が高く敬われる医者が気に入らなかった。それが“人間”だと知り、頭にきた。あんな奴らに頭を下げるのも言うことを聞くのも嫌だ。しかし殺してしまえば死罪になるので、事故に見せかけて殺せばいいと思った』
(なるほどな‥‥)
 あの大男は、の上司だと言っていた。
 数少ない上司の頼み事だから、なんとか聞いてやろうと思う‥‥そんな彼女の善意を悪用したのだ。
 “妖怪”は人間を嫌悪している。主犯はフェリー乗り場のスタッフで、その上司の男を唆して共謀したのだ。
「急病の男は?」
「男の急病は本当だった。だが──を殺すために、あいつらによって仕立て上げられていた」
 蔵馬の金の瞳が、鋭く妖しげに煌めいている。湧き上がる怒りを抑えきれず、握りしめた拳から血が滴り落ちた。
 先ほどまでの激しい痛みも、痺れも‥‥もはや何も感じなかった。蔵馬の中にある全ての痛覚は消え失せ‥‥それと引き換えに、体中から立ち昇ってくる『殺意』が蔵馬を支配していく。
「共謀していた男はどこにいる?生きているのか?」
「生きてはいますが‥‥何をするつもりです。殺すつもりなのですか?」
 蔵馬の金色に輝く鋭い瞳を覗いて、雲鬼はゾッとして息をのんだ。
「そいつを殺してしまえば、お前は罪を被ることになりますよ。お前は、そんなつまらない男のために罰を受けることができるのですか?」
「生かしておいたら、その者たちはまた同じことをするだろう」
「男は霊界が捕えました。わざわざお前がそいつに罰を下す必要はありません。それは霊界の役目です」
「霊界などあてにできるか。霊界の理を説いても俺には無用だ。殺すしかない。邪魔をすれば‥‥貴様も殺す」
「しかし──」
「フッ‥‥。ならば俺を殺すか?妖気がない今の俺なら殺せるかもしれんぞ。やってみる‥‥か?」
 しきりに警告する雲鬼の目を、逸らすことなく静かに見据えている蔵馬の覚悟は、本物に思えた。蔵馬はきっと、その男を殺すだろう──。
 蔵馬の言うとおり、今の雲鬼の力であれば蔵馬を殺せるかもしれない。
 今まで蔵馬に殺された特防隊のことを思うと、殺せるときに殺しておくべきだと、霊界人であれば誰もが思うことだろう。
 もしここにコエンマ様と雷鬼がいたら、やはり蔵馬を殺せと命じるだろう。
 だが、雲鬼は蔵馬を殺せない。蔵馬の殺意が“快楽目的”ではなく、を護るためであることを知っているから。
 自分と接している蔵馬は、明らかに、魔界にいたころの“妖狐蔵馬”とは何かが違う。
 これ以上、雲鬼がなにを言っても蔵馬は聞きはしない。霊界が与える懲罰など、の命に比べれば、蔵馬にとっては恐れにすら値しないのかもしれない。
「そこまで言うなら、好きにしなさい」と、雲鬼は蔵馬を突き放した。
「そうそう。このことは、一応あの男にも知らせてやりなさい」
「あの男──?黒鵺の事を言っているのか?」
「もちろんだ。今回標的になったのはだったが、であった場合も大いに考えられた。あの妖怪に、の身辺に目を光らせろと忠告しておいてください」
 蔵馬が了承することなく黙っているので、雲鬼はイラッとした表情を浮かべる。
「聞いているのか、妖怪」
 つい、声を荒げてしまった。
「何も言わないつもりですか?それでに何か遭ったらどうします?お前にとってはの生死など、どうでもいいことかもしれない。だったら、の事はその黒鵺とやらに任せるしかないでしょう。私は、いつも自由に動けるわけではないのですから」
「いいのか?あいつは俺より血の気が多い。一度キレたら収拾がつかん。この話を聞いたら、その男は勿論だが、共犯者だけでなく息のかかった者全てを皆殺しにしかねん。そういう奴だ、あいつは」
 雲鬼は一瞬口を噤んだが‥‥去り際に吐いた言葉は、蔵馬を驚かせた。
「それでも、教えてやりなさい。私は、妹のようなが可愛いんだ」

 台風が、今まさに島に上陸しようとしていた。
 轟々と風がうめき、降りつける雨はまるで滝のようである。
 蔵馬は棟を渡り歩きながら、を探していた。
 医務室にもいない。部屋にもいない。貯蔵庫にもいない‥‥。蔵馬は、を呼び出すためにインフォメーションを利用しようと思ったが、目立つような行為は避けるべきだ。
 しかし、これといったアテがあるわけでもない。
 窓の外の景色を眺めていると、遠くの空で稲光が見えた。暗雲がとてつもない勢いでこちらに迫ってきているのがわかる。
(これが『台風』か──)
 魔界へ戻った時の、部下への話の種にちょうどいいと、しばらく窓の外の嵐を眺めていた。

「あの‥‥」
 蚊の鳴くような声で、背後から声をかけられた。
 窓ガラス越しに、の姿が映る。
 黙っていると、は再び蔵馬に声をかけた。
「‥‥なんだ」
 振り向かず、外を眺めたままの蔵馬が冷たく問う。
 が蔵馬に臆しているのが見えて、蔵馬はイラつきながらも、仕方なく振り向いてやる。
 凍てつくような金の瞳に、はビクッと身体を震わせ、後ずさりをしようとした。
「何か用か」
「あ、あのっ‥‥!し、失礼‥‥します。の事なんですが‥‥。ま、護ってくださいまして、ありがとうございました!」
 公衆の面前では“他人”を通しているため、蔵馬を相手にを敢えて名字で呼び、は“会場で働く医者”として感謝を述べた。
「ぼたんから聞きました。、道に迷ってたそうじゃないですか。後ろから、妖怪達が尾けてたって──。蔵馬さんが助けてくださったんですってね。ほんと、ありがとうございました」
 それは、真実とは異なるものだった。
 なるほど、あの二人の口裏合わせか。おそらく、霊界ごとそれに乗っかっているに違いない。
 の為を思ってのことだろうが、蔵馬は腑に落ちない。この女に真実を隠して、一体何のメリットがあるというのか──。
 案の定、は苦笑いを浮かべながら、は方向音痴だとか、どんくさいとか、好き勝手を言っている。
 蔵馬はを見下しながら、ヘラヘラした言動に侮蔑を込めた舌打ちを返す。
 この小娘もに似て、『自分が“人間”である』という危機感がまるで無いようだった。
(真実を知らない愚かな女が‥‥)
 は、空気的に蔵馬に見下されているのを感じている。深く一礼し、帰ろうと踵を返すと‥‥。
 どこかで見たことのある面々が、に向かって手を振っているのに気づいた。
「ヤッホー!お〜い酎。ちゃん、ここにいたよー」
 鈴駒が遠くから手を仰ぎながら走ってきて、の隣で止まるとエヘヘと笑った。
「よぉ〜姉ちゃん!今回はえっらい災難だったなぁ〜」
 酎は、おもむろにの肩を抱くと、こう言った。
「あんたの連れのちゃんに、さっき会ったぜ!まるで死んだ魚の腹ようなツラして、ベソかいて歩いていてなぁ。隣に姉ちゃんがいたけどよぉ‥‥ありゃぁ誰だい?」
「え?あ、あの‥‥」
「ま、いいや。とにかく、ちゃんの事を聞いたがよぉ〜全くひっでぇ話じゃねぇか!」
 どうして貴方達が、そんなこと知っているの──!?は驚きを隠せなかった。

妖気のほぼ全てがブローチによって抑え込まれている為、妖気が出せない‥‥丸腰同前の蔵馬です。こういう時、鎌を武器とする黒鵺は有利。
小説のタイトルが蔵馬の『悪夢の1日』ということですので、EDを迎えて1日を終えるまで、蔵馬の悪夢は終わりません(笑)。
私は、蔵馬と黒鵺を追い詰めていく話が大好きです。ホラー映画等で、血だらけで逃げ惑う主人公にワクワクする‥‥そんな感じ(酷)。
某映画で、悪霊渦巻く病院で1晩過ごし、無事生還したら『1億円』という作品がありました。一攫千金を夢見た参加者が次々に殺され、吊り橋効果で続々カップリング(^_^;)。恋人生かして死んでいくも、残された方も結局殺される。泣きながら逃げ惑い、助けてくれと懇願‥‥凄惨で残酷な為にR12指定でしたが、私はそういう緊張感が大好きです(鬼畜!)。

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