距離こそ離れてはいるが、何かが起こってもすぐに対処できる距離である。さすがにあの時は、突発的だったが──。※2
「女を監視するつもりか?」
「失礼な、人聞きの悪い。『護衛』と言ってくれないか。俺はの周囲に漂う妖気の変化を感じ取るだけだ。それ以上のことはせんよ」
蔵馬は少し不機嫌そうに眉をひそめた。のプライベートを覗き見するような趣味などないと──。
「だが、お前の言うとおり魔界は危険なところだ。さすがに、危険な場所に足を踏み入れようとしたら、姿を見せて同行するか、あるいは止めたりはするが──。それ以外は、俺は遠くから見守るだけだ」
「だが、盗賊してる間はどうするんだ?もし、俺たちが目を離した隙に殺されでもしたら──」
「そんなことを言っていては、俺たちはどこにも行けないではないか」
が危険な場所にいるから護るのであり、なにもないのに四六時中見張るのは不可能だ。だって気が休まらないだろう。
それは護衛を通り越して、まさに『監視』と『覗き』だ。
「けどよぉ」
すると、蔵馬はある『案』を黒鵺に持ちかけた。
「といっても、の案だがな。俺たちが盗賊をしている間、以前のように魔界にある病院で働くというのはどうだ?と提案してきた」
すると、「またかよ!」と黒鵺は首を項垂れた。
∧※1…第3部-2話
∧※2…第3部-4話
が主人公の話って、新鮮です。
長編3部作の間、黒鵺に侍らせている女がいた!この女性は、治癒能力があるって理由だけで、黒鵺は手元に置いていたのですが‥‥。二股とかいって、読者の皆様にバッシングされたらどうしよう(怖)。
蔵馬も黒鵺も、盗賊で冷たい性格なんだから、ただの『物』として見ているだけなのですが、それでもダメかな?
それ以前に、黒鵺って映画だけの存在なので、受け入れられなかったらどうしよう…(爆)。